「先輩、身体の調子はどうですか?」 「ああ、問題ないよ桜。むしろ前より調子いいくらいだ。とても人形とは思えないな」 「流石は封印指定の魔術師の作品ですね」
「ふふふ。行ける! 行けるわ! この実験が成功すれば、一気に第二魔法への道が開ける!」 「凛、少し伺いたいのですけれど」 「何よルヴィア。今が大事な所なんだから、ちゃんと集中しなさいよ。失敗したら今までの成果が全てパーなのよ」 「……貴方の担当した部分、クインベリルとグリーンベリルが逆になっているように見えるのは、私の気のせいかしら」 「何言ってるのよ、そんなわけ――」 「…………」 「…………」 「………………凛?」 「………………や、やっちゃった」
「超さん、見てくださいコレ!」 「ほぉ……スゴイね、一級品、いや超一級品のマジックアイテムね。しかも魂か精霊のような物まで宿っているヨ」 「でも壊れてますよ。……かなりボロボロに」 「私達は何ね? 壊れた物は直せばいいヨ。……より強力にネ」
「やりました! ついに完成しました!」 「さて、早速目覚めさせるとするかネ」 「……ここは。……俺、は?」 「貴方はT−ANK−α4−Ro。愛称は田中シローです!」
「今日付で転校してきた、田中シローさんです。仲良くしてあげてくださいね!」 「田中シローです。よろしくお願いします」
「ハカセ。シローの口調がおかしいヨ。プログラムにミスでもあったか?」 「それなんですけど、超さん。プログラム内に組んだ覚えの無いブラックボックスが発生してるんですよ」 「ふむ。……或いはそれは、元の"人形"に宿っていた魂かも知れないネ」
「どうしたのですか、シロー」 「茶々丸姉さん。……時々判らなくなるんだ、自分が何なのか。私は"あの時"生まれた筈なのに、時々"それ以前"の夢を見るんだ」
「修学旅行、ですか?」
「……シローさん、今、貴方は魔法を使いませんでしたか?」 「私に魔法を使用する機能は搭載されていませんが」
「このかさんを返して貰います」 「ハッ! お人形さんの出る幕や無いんどすえッ!」
「刹那さん。ここは任せてこのかさんの所へ」 「え〜。お人形さんが相手では〜、面白くないんですけど〜」
「逃がしません。貴方はここで倒させて頂きます」 「君は僕に勝てるつもりなのかい。その贋物の身体と心で」
「善戦だったけれど……残念だったねネギ君……」 「いいえ、まだ終わっていません」 「シローさん!」 「あくまで邪魔をするか、機械人形!」
「それでもいい。例えこの身が作り物でも。この心さえ作り物でも。……それでも、きっとこの想いだけは贋物なんかじゃないから。だから――」
「あーはっはっは! そないボロボロの身体で何が出来ると?」
「血潮は鉄で、心は硝子――」
「正義の味方……」 「ネギ、何言ってるの?」 「おかしいかも知れませんね。でも、どうしようも無くそう見えるんです。シローさんが、『正義の味方』に」
「征くぞ大鬼神。魔力の貯蔵は十分か」
「――――投影、開始」
|